映画『人間椅子 バンド生活三十年』を観て
先日急に思い立って映画を観に行った。
映画を観るのは、去年2019年にアナ雪2を観て以来だった。
パートナーと2人で行ったのだが、パートナーと映画を観に行ったのは、京都みなみ会館での『不思議惑星キン・ザ・ザ』以来だった。
調べてみると、京都みなみ会館でキンザザを上演していたのは2016年らしい。パートナーはそれ以来映画館に行っていないと言っていたので、4年ぶりになる。
映画を観に行こうを思った前日あたりに、Twitterのタイムラインで『人間椅子』のドキュメンタリー映画が上映されている事を知った。
そして、知人がその映画の撮影に関わっているという事もあり、興味を持った。
上映は関東だけかと思いきや、京都の、しかも自転車で行ける範囲の映画館で上映していたので、思い立った当日急遽観に行くこととなった。
映画の内容
デビュー30周年記念ツアーの千秋楽のライブパフォーマンスがメインとなっていた。
千秋楽のライブから何曲か抜粋していたのと、あとほんの少しだけリハーサルや楽屋の様子、といった感じだった。
インタビューなどはなく、ライブ中の曲との切れ間に、過去に人間椅子のメンバーが書いたであろう、エッセイ本のようなものからの引用文が数秒表示されるのみだった。
アンコールのあと、エンディングとスタッフロールが流れ、そのあとはおまけのような感じで、海外ツアーの時の様子が少し流れた。
映画を観て
正直に言うと、自分は『人間椅子』のことをほとんど知らなかった。
知っている曲は『人間失格』のみ。だがその唯一知っている曲は最後まで演奏されなかった。
あとは3ピースのバンドであること、ベースの人がねずみ小僧のような恰好をしていること、イカ天に出場したことがあるということくらいの知識しか持っていなかった。
人間椅子に対して自分が持っているイメージは、『首くくる紐も ない』といった歌詞の、鬱々しく、狂っている、といったイメージだった。
しかし、実際にライブを観て、案外そうではないかもしれないと思った。
というのは、暗いイメージを彷彿とさせる日本的な歌詞や、お経のような歌い方からは、鬱々しい雰囲気を感じられるが、曲調がとてもロックだったのだ。
とてもハードロックで、そして、ギターを弾いている和嶋慎治さんの様子は、ロックが大好きなギター少年のように感じられた。
これは意外だった。
自分がいま30歳なので、人間椅子と同い年である。30年もバンドを続けるというのは、簡単に出来ることではないと思う。 きっと苦しい時期もあったのだろうと思うが、歳をとってなお同じバンドを続けているというのはとてもすごい事だ。
演奏している様子を観て感じたことがある。
歳をとるという事は、生きてきた経験が人そのものに蓄積されていき、存在しているだけで説得感が増すのだと。
若いときはそれはそれで、不安定さや危うさのような魅力がある。
しかし、歳をとると、若い時と一見同じようなことをしていても、説得感が増すのかもしれない、と感じた。
自分も歳をとったときに、たくさんの経験を蓄積して説得感のある人間になれればいいなと思った。